医療・福祉業界の採用では何を見せるべき？
はじめに：採用難の中で“見せ方”が問われている
医療・福祉業界は、慢性的な人材不足に直面しています。高齢化が進む中で、現場を支える人材の確保は急務です。しかし、「ハードな現場」「離職率が高い」「待遇が厳しい」といったネガティブなイメージが先行し、魅力を十分に伝えられていないことが、応募数の伸び悩みに繋がっています。
本記事では、医療・福祉の採用において“何を見せるべきか”を明らかにし、応募者の共感や信頼を得るための採用コンテンツの工夫について具体的に解説します。
求職者はどこを見ている？
条件よりも「安心感」と「人間関係」
医療・福祉分野を志す人は、給与や休日だけでなく、「人間関係が良好か」「人として成長できるか」を重視しています。
実際のアンケート調査でも、職場を選ぶ際のポイントとして「職場の雰囲気」「先輩との相性」を挙げる声が多く、表面上の条件では測れない“空気感”の伝達が鍵となります。
「自分もここで働けそう」と思えるかどうか
特に未経験者や学生の場合、「その職場に自分が馴染めるか」が最大の不安要素になります。具体的な仕事内容よりも、「笑顔で働く人」「支え合う関係性」「研修体制」などの見せ方が応募の動機づけになります。
医療・福祉業界の採用で“見せるべきもの”とは？
① 実際に働く「人」の表情や声
どんなに美しい言葉で理念を語っても、現場の人が笑顔で働く姿には敵いません。
介護士、看護師、リハ職員などのリアルな表情やインタビューは、「人間関係の良さ」や「やりがい」を伝える上で不可欠です。
② チームワーク・協力体制
福祉・医療は個人プレーではなくチームワークが前提です。職種を超えて協力している様子や、会議・連携の風景などを見せると、「ここは一人じゃない」と安心感を与えられます。
③ 働く環境（施設・設備・休憩スペースなど）
古くて狭い施設よりも、清潔感があり整った環境は好印象を与えます。リラックスできる休憩室や職員同士の交流の場などを写真や動画で見せると、「職場に優しさがある」と感じさせられます。
④ キャリアステップと成長の支援
「将来の自分の姿が描けるか」は、特に若手採用において重要です。研修制度や資格取得支援、定期面談などを紹介し、「成長を支える仕組みがある」ことを見せることで、応募意欲が高まります。
採用コンテンツに取り入れるべき工夫
採用サイト構成の例
医療・福祉の採用サイトでは、以下のような構成が効果的です：
- 職員インタビュー：年齢・職歴・働く上で大切にしていること
- 1日の流れ：時間ごとのスケジュールを写真付きで紹介
- 理念・方針：経営陣の言葉と共に現場の視点でも語る
- キャリア紹介：新人→中堅→リーダーへのステップを図解
動画の活用
文字だけでは伝わらない「表情」「声のトーン」「連携の様子」を伝えるには、1～2分の短編動画が非常に効果的です。
新人スタッフの1日、あるいは施設内の紹介ツアーのような構成が人気です。
SNSでの“日常発信”
InstagramやXでは、堅すぎない日常の記録が人柄や雰囲気を伝える材料になります。
たとえば「新人歓迎会」「七夕の飾りつけ」「研修後のランチ会」など、行事とセットで写真を活用すると自然な印象になります。
成功事例：小さな施設でも応募3倍に
ある地方の介護施設では、採用サイトに「スタッフの声」「仕事の流れ」「動画メッセージ」を追加した結果、応募数が3か月で3倍に増加しました。
とくに効果が高かったのは「20代の職員による“なぜここを選んだか”のリアルな証言」で、共感を生むストーリーが志望動機に直結したとの分析があります。
失敗事例：伝えるべき情報が抜けていた
理念だけで現場が見えない
ある医療法人の採用ページでは、立派な理念が語られていたものの、現場職員の姿や声が一切掲載されておらず、応募者にとっては「実態が分からない」という印象に。
理念と現場のつながりが見える構成が求められます。
「忙しそう」「大変そう」が強調されすぎた
やりがいを伝えようとするあまり、「使命感」「覚悟」「責任」ばかりを強調しすぎてしまい、かえってハードさを印象づけてしまったケースも。
バランス良く、支え合いやフォロー体制も見せることが大切です。
明日からできる！見せ方チェックリスト
- 現場職員の表情や働く姿が写真・動画で伝わっているか？
- 新人が入職してからの「成長ストーリー」が見えるか？
- スタッフ同士の関係性やチームワークが伝わるか？
- 福利厚生や働きやすさの工夫が視覚的に表現されているか？
- 「理念」と「実践」の橋渡しがなされているか？
まとめ：見せるべきは“やさしさ”と“安心”
医療・福祉業界の採用では、「何をしているか」よりも、「どんな人が、どんな想いで働いているか」を伝えることが重要です。
応募の決め手になるのは、「ここなら自分も働けそう」「一緒に働きたい人がいるかも」という共感と信頼。
だからこそ、日々の姿を誠実に、温かく見せることが、採用成功への第一歩です。