まだ「会社概要」だけ？

“本音”が伝わるコンテンツ制作のポイントと実例

はじめに：なぜ「社員の声」が応募に効くのか

どれだけ条件や制度が整っていても、「人」が見えない会社に応募したいと思う求職者は少数です。
特にZ世代・ミレニアル世代などの若手層は、企業のスペックだけでなく「どんな人が働いているか」や「自分と合うかどうか」を重視しています。

にもかかわらず、多くの採用ページでは「会社概要」や「制度紹介」ばかりが前面に出され、社員の声が形式的なテンプレ紹介にとどまっているケースが目立ちます。

若手人材が「共感」で企業を選ぶ時代

スペックではなく「ストーリー」で選ばれる

給与・休暇・福利厚生といったスペック情報は、もはや差別化になりにくい時代です。
では、何が応募の決め手になるのか？ それは「この会社の人たちと働きたい」と思えるかどうかです。
つまり、共感を得る“物語”がなければ、求人に応募が来ない原因になり得るのです。

求職者が見るべき情報が変わった

求職者が「見る」だけでなく「感じる」コンテンツを重視する今、社員のリアルな声が求められています。
よくある「毎日が充実」「アットホーム」だけでは伝わりません。
個人の背景や迷い、成長過程にこそ、共感を生む力があります。

“ストーリー型”採用ページとは何か

会社紹介ではなく「物語」を語る

会社の歴史や理念も大切ですが、心に響くのは人が語るエピソードです。
そのためには、社員がどのような経緯で入社し、何に悩み、どんな成長をしてきたかを語れる場が必要です。

理念・背景・きっかけを掘り下げる

「なぜこの会社に？」という問いに対し、迷いや不安、決断までのプロセスをしっかり語ることで、人間らしい印象を与えます。
これにより、「この会社に自分もフィットしそう」と感じてもらいやすくなります。

経営者や社員のリアルな想いを載せる

トップの声も重要ですが、現場社員や入社1～2年目の若手の声には、また違った信頼性があります。
実際の現場の空気感が伝わるように工夫しましょう。

実際に響く“ストーリー”の型と事例

創業のきっかけと理念から紐解く

創業者の原体験やミッションに共感して入社した社員のエピソードは、企業の価値観を象徴する材料となります。
求職者は、そこで「自分との重なり」を探します。

社会課題との接点を見せる

「この仕事が社会とどうつながっているか」を語ることで、単なる業務の紹介を超えた“働く意味”を伝えることができます。

社員一人ひとりの「なぜここで働くのか」

一問一答ではなく、ストーリー形式で「働く意味」や「会社との相性」を語る構成が有効です。
たとえば「最初は不安だったけど、先輩に助けられて成長できた」などの流れは、読む人の記憶に残りやすく、共感も得やすいです。

ストーリー型ページの構成要素と作り方

① トップに「共感ワード」

「毎日が楽しい」よりも、「毎日が苦しかった時期もあったけど、それを乗り越えた今がある」の方が共感を呼びます。
最初の数行で読者の感情を動かすことが重要です。

② 背景のドラマを可視化

入社前の葛藤・迷い・失敗体験などをビジュアル（写真・図解）と合わせて見せると、“つくった印象”ではなく“素直な人柄”が伝わります。

③ 社員のエピソードを挿入

業種や職種を問わず、社員一人ひとりに「人間ドラマ」があります。
それを掘り出して紹介することで、「この職場で働くイメージ」が強まります。

④ 動画・写真で熱量を伝える

文章だけでは伝わらない「声のトーン」や「表情」は、動画で補完しましょう。
特に若手層は動画視聴に抵抗がなく、短尺で縦型のインタビュー動画が効果的です。

成果につながる事例：若手応募が3倍に

ビジュアル重視＋代表のストーリーで変化

ある中小企業では、代表の創業ストーリーを動画化。
それまで月10件だった応募が、動画公開後に月30件に増加。
求職者は「人の想い」に反応することが証明されました。

ストーリーで「想い」を伝えた結果

別の企業では、社員インタビューを一問一答ではなく時系列の“成長ストーリー”に変更。
「入社後のギャップも含めて正直に伝えた」と話す担当者によると、応募率が2.2倍に増えたとのこと。

ストーリー型採用ページを成功させるポイント

ありのままを出す勇気

「ネガティブな内容は避けたい」という声もありますが、飾らない言葉こそが信頼を生む時代です。
マイナス面も、それをどう乗り越えたかで印象が変わります。

社内の協力体制と共創の意識

社員の協力なくしてコンテンツは生まれません。
インタビューや写真撮影は業務時間内に実施するなど、会社全体で「採用はチーム戦」という意識が必要です。

継続的な更新とストーリーの深化

公開して終わりではなく、半年〜1年ごとにアップデートを。
時代や働き方が変わる中で、社員の価値観や経験も進化しています。

まとめ：共感は“物語”から生まれる

求人に応募が来ない原因の多くは、「企業の顔が見えない」ことにあります。
制度や待遇だけではなく、“人”の声を通して企業の温度感を伝えることが、これからの採用活動には不可欠です。
応募者はスペックではなく「共感」で動く——そのために、今こそ“物語”を語る採用ページへと進化させましょう。