Googleしない若者はいない

Googleしない若者はいない
「最近の若者はGoogleを使わない」などと言われることもありますが、それは誤解です。Z世代・ミレニアル世代を含む求職者層の多くは、企業について調べる際、まずGoogleなどの検索エンジンで情報を集めます。公式サイト、口コミ、SNSなど、複数の情報源をチェックしながら「どの会社に応募するか」を決めているのです。
つまり、採用成功のカギは、検索行動にしっかりと対応したWeb対策にあります。本記事では、企業の採用ページが検索経由で見られるために必要な施策=「採用SEO」の考え方と実践方法を解説していきます。
なぜ今、検索エンジン対策(SEO)が採用に効くのか
求職者の行動はまず「検索」から始まる
求人広告やSNS投稿などで企業を知った求職者が、次に取る行動は「Google検索」です。たとえば「●●株式会社 評判」「●● 採用」などのキーワードで企業名を調べ、どんな会社なのか、働く環境はどうなのかを確認します。
ここで企業の採用ページがヒットしなければ、その時点で候補から外れる可能性もあります。つまり、検索結果に“出るかどうか”が応募数に直結する時代なのです。
「企業名+評判」「職種+エリア」などの実態検索ワード
求職者が実際に使っている検索キーワードは、「企業名+評判」「職種+地域」「業界+働き方」などが主流です。たとえば「施工管理 未経験 東京」や「食品メーカー 福利厚生 比較」といった形です。
こうした“自然な検索語”に対して、自社の採用情報ページや記事がしっかりヒットする構造になっているかが重要です。ページのタイトル、見出し、URL構造、そして本文中のキーワード配置など、SEOの基本がここでも効いてきます。
採用ページが見られない理由
コーポレートサイトの中に埋もれている
多くの企業が、自社のコーポレートサイト内に採用情報ページを用意しています。しかし、トップページのフッターに小さく「採用情報」リンクがあるだけ、というケースは少なくありません。これでは、求職者がたどり着くまでに何ステップも必要で、途中で離脱してしまう可能性が高くなります。
また、スマホ表示で探しづらい、メニューに採用の導線がないといった構造上の問題も多く見受けられます。せっかく魅力的な情報を掲載していても、見つけてもらえなければ意味がありません。
検索に引っかからない・タイトルが弱い
もう一つの問題は、検索エンジンに正しく評価されていないケースです。たとえば、採用ページのタイトルが「採用情報|株式会社●●」のように一般的すぎると、「施工管理 採用 東京」などの検索にヒットしません。
Googleは、ユーザーの検索意図に合致するページを優先して表示します。そのためには、ページタイトルに「職種名」や「エリア」「特徴」など、実際に検索されやすい語句を含めることが必要です。
また、見出しタグ(h1、h2、h3など)の使い方もSEOには重要です。「求人情報はこちら」などではなく、「東京で施工管理を募集|未経験OK」など、検索ニーズに沿った見出しを設計することで、検索エンジンにもユーザーにも伝わりやすくなります。
求職者を“採用ページ”に導く導線設計
検索ワードに応じたLP設計とタイトル設計
求職者の検索ワードは非常に具体的です。たとえば「事務 正社員 名古屋 未経験」や「製造業 工場 夜勤 高卒」など、多くの条件が組み合わさっています。こうした検索に対してピンポイントで応えるためには、1ページで全ての採用情報を紹介するのではなく、職種・地域・条件別にLP(ランディングページ)を作成することが有効です。
また、そのページのタイトル(titleタグ)にも工夫が必要です。「採用情報」ではなく、「名古屋の未経験OK事務職を募集|株式会社●●採用情報」といった具体的な文言を設定することで、検索上位に表示されやすくなります。
職種・業務・エリア別などのセグメント化
求職者が最も知りたいのは、「自分に関係のある情報があるか」です。全職種・全勤務地が1ページにまとめられていると、自分に関係があるかどうかを判断するのに手間がかかります。
これを防ぐためにも、「営業職」「エンジニア職」「事務職」などの職種別や、「東京本社」「名古屋支店」などのエリア別にページを分けることをおすすめします。それぞれのページで具体的な仕事内容や社員の声を紹介することで、検索エンジンにも評価されやすくなり、求職者にとっても親切な構成になります。
Googleビジネスプロフィールと連携する
ローカル検索対策としては、Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)の活用も重要です。「社名+勤務地」で検索した際に、Googleマップに企業情報が表示されることで、信頼感の向上につながります。
ここに採用ページへのリンクを設定しておくことで、Web検索だけでなく地図検索からの流入も見込めます。飲食や介護、物流など、地域密着型の業種では特に有効です。
採用SEOでやってはいけないこと
社名だけで上位表示を狙うのは逆効果
多くの企業が、自社名やブランド名で検索結果に表示されればよいと考えがちですが、実際のところ求職者は「社名」だけで検索するケースは限られています。むしろ、「職種」「働き方」「地域」「条件」などのキーワードで検索するケースが圧倒的に多いのです。
そのため、「株式会社●● 採用」だけに最適化するのではなく、「未経験から始める営業職|東京勤務」など、求職者の行動に即した検索語に対応するページ構成を意識することが重要です。
求人媒体任せで「自社での対策」を怠る
求人媒体に情報を掲載しているから、自社サイトのSEOは不要――そう考えている企業も少なくありません。しかし、求人媒体のページは「求人が終了すると消える」「情報更新が限定的」「差別化しづらい」といった課題があります。
一方で自社サイトは、企業のブランディングや理念、社員の声などを長期的に蓄積できる媒体です。媒体任せにするのではなく、自社サイト側でも検索流入を獲得できる体制を整えることが、採用成功の鍵を握ります。
キーワードの羅列や不自然な文章は逆効果
かつては「キーワードを大量に詰め込めば上位表示される」という時代もありましたが、今は逆にスパム判定を受ける原因になります。ユーザーにとって読みやすく、かつ検索意図に合致する自然な文章を書くことが最優先です。
中小企業でもできる採用SEOの実践ステップ
最低限押さえるべきタグ設計
SEOにおいて基本となるのが、HTMLの構造を適切に設計することです。採用ページの「タイトルタグ(title)」には、職種名・勤務地・特徴(未経験可、正社員など)を含めると検索されやすくなります。
また、ページ内の「見出しタグ(h1〜h3)」は、構成のメリハリをつけるだけでなく、Googleにとっての重要キーワード判断材料にもなります。例えば、<h1>東京勤務の事務職を募集</h1>
という見出しは、「東京」「事務職」「募集」といった検索に対して有効です。
ブログ・社員紹介・Q&Aの活用
定期的に情報を更新する仕組みとして、ブログやお知らせ欄の活用もおすすめです。たとえば「先輩社員の1日」や「よくある質問」「社内イベントレポート」などは、求職者の不安を解消すると同時に、SEOの素材としても有効です。
社員紹介ページでは、肩書や勤務地、キャリアパスなどを具体的に記載することで、該当するキーワードでの流入が期待できます。写真やエピソードとあわせて、親しみやすさを打ち出しましょう。
自社の“らしさ”を伝えるページ構成とは
テンプレート的な採用ページでは、どの会社も似たような印象になってしまい、求職者の記憶に残りません。中小企業こそ、自社の強みや人間関係、社内文化など“らしさ”を打ち出すことで、特定層に刺さるページが作れます。
例として、「社長と社員の距離の近さ」「全員が未経験からスタートしている事実」「週1でランチ交流がある風土」など、小さなエピソードが“他社にはない魅力”として強く響きます。
まとめ:検索で選ばれる企業になるために
現代の求職者にとって、Google検索は“応募前の当たり前の行動”です。SNSで知った会社も、求人サイトで見つけた企業も、まずは検索して評判を調べ、公式ページにアクセスし、納得してから応募します。つまり、検索に出てこない企業は、存在していないのと同じになってしまうのです。
特に中小企業は、求人媒体だけに頼らず、自社サイトや採用ページを「検索されるメディア」として育てていくことが重要です。職種・地域ごとの専用ページ、社員のストーリー、Q&Aなど、求職者の不安や疑問に寄り添うコンテンツを用意することで、SEOにもユーザーにも強いページができます。
また、ただ検索でヒットするだけでなく、「この会社、なんかいいな」「ここで働いてみたい」と思ってもらえるような“共感”を生む情報発信も欠かせません。それは、理念やカルチャー、働く人の言葉など、企業の“素顔”を丁寧に見せることから始まります。
Googleに評価されるだけでなく、求職者に“選ばれる”採用ページへ。 その第一歩は、検索行動のリアルを知り、求職者の視点から情報設計を見直すことです。検索され、見つけられ、共感される——。そんな採用ページが、これからの採用戦略における競争力となるのです。