若手が共感する“ストーリー型”採用ページの作り方

はじめに:会社概要だけでは、もう響かない
「設立◯年、従業員数◯名、事業内容:○○」
こうした定型的な会社概要だけでは、もはや応募者の心を動かすことはできません。
特にZ世代を中心とした若手人材は、「この会社は自分に合っているか?」「ここで働く意味はあるか?」という“感情的共感”を重視します。
そんな中、注目を集めているのが「ストーリー型採用ページ」。
会社の歴史や理念だけでなく、“人の想い”や“なぜその仕事をしているのか”という背景を丁寧に語ることで、共感と信頼を得る方法です。
事実よりも“心”。データよりも“ドラマ”。
この記事では、若手に選ばれる「ストーリー型」採用ページの作り方と、実際の事例、構成ポイントをご紹介します。
若手人材が「共感」で企業を選ぶ時代
スペックではなく「ストーリー」で選ばれる
求職者が企業を選ぶ基準は大きく変化しています。
待遇や知名度といった“スペック的魅力”は依然として大切ですが、それだけでは響かなくなってきました。
「この会社の考え方が好きだ」
「この人たちと一緒に働きたい」
そう思ってもらえる“ストーリー”を持つ企業こそ、今、選ばれています。
たとえば、ある食品会社の採用ページでは、「創業者の子どもが重度の食物アレルギーを持っていた」という背景から、無添加食品への取り組みが語られています。
そのページを見た学生の応募理由は、「商品よりも、創業者の話に共感したから」だったのです。
就職先は、“自分の人生と重ね合わせられる場所”で選ばれる時代です。
求職者が見るべき情報が変わった
かつては「社名」「売上」「福利厚生」といった数字的・制度的情報が重視されていました。
しかし、いまの若手が最初に見るのは「誰が、どんな想いで働いているか」です。
InstagramやYouTubeなど、日常の舞台裏に触れられる時代。
表面的な情報だけでは、「中身が見えない会社」としてスルーされてしまいます。
“ストーリー型”採用ページとは何か
会社紹介ではなく「物語」を語る
ストーリー型採用ページは、会社のプロフィールではなく「物語」を軸に設計されます。
それは企業の歩みであり、社員一人ひとりのドラマでもあります。
- なぜこの会社は生まれたのか
- どんな課題に向き合ってきたのか
- どんな人たちが、どんな思いで働いているのか
求職者は“熱量の源泉”に触れたときに、「ここに応募したい」と感じるのです。
理念・背景・きっかけを掘り下げる
表面的な「企業理念」は、他社との差別化になりません。
「人を大切にします」だけでは、印象に残らないのです。
しかし、「入社1年目で大きなミスをしても、上司が“責任は俺が取るから、もう一度やれ”と言ってくれた」という実話があれば、理念に命が宿ります。
経営者や社員のリアルな想いを載せる
「社長の夢」「営業部長の苦悩」「入社3年目の葛藤」
そうした人間の息遣いを感じられる語りこそが、読者の心を動かします。
一方的なPRではなく、問いかけや迷い、転機など“語り”があることで共感が生まれるのです。
実際に響く“ストーリー”の型と事例
創業のきっかけと理念から紐解く
創業者の原体験は、もっとも共感を呼びやすいストーリーです。
たとえば、ITベンチャーの代表が「情報弱者が損をする社会」に違和感を持った学生時代の経験から、「誰もがITを使いこなせる社会をつくる」という理念に至った話は、多くの若者の共感を得ました。
社会課題との接点を見せる
自社の活動が社会とどう接続しているか。
それを明示することで、「自分も社会に貢献できる」という実感が生まれます。
- 障がい者雇用の推進
- 地方創生への参画
- 環境に配慮したモノづくり
どんな会社にも「社会との接点」はあります。そこを物語として描くのです。
社員一人ひとりの「なぜここで働くのか」
社員の物語は、共感の宝庫です。
- 「親の介護を経て介護職に就いた」
- 「未経験から転職し、今は人材育成に携わっている」
- 「自信がなかったが、挑戦を重ねて変われた」
読者はその姿を自分と重ね合わせ、「自分にもできるかもしれない」と感じるのです。
ストーリー型ページの構成要素と作り方
① トップに「共感ワード」
ファーストビューは、感情に刺さる“採用の顔”です。
- 「誰かの“ありがとう”で、生きていきたい」
- 「心が動いた瞬間が、キャリアの始まりだった」
- 「挑戦するのは、明日を変えたいから」
② 背景のドラマを可視化
創業者の夢、社員の葛藤、乗り越えた壁など、感情に訴える具体的なエピソードを記述します。
年度だけの年表では伝わりません。
③ 社員のエピソードを挿入
形式的な「社員紹介」ではなく、その人の人生の一部として“仕事”を語ってもらう構成にします。
説明会よりも響く「等身大のリアル」を重視しましょう。
④ 動画・写真で熱量を伝える
表情・声・仕草から伝わる熱量は、文字情報を凌駕します。
インタビュー動画や職場風景の写真を組み合わせて、ページ全体を“体験コンテンツ”にしましょう。
成果につながる事例:若手応募が3倍に
代表のストーリー+動画で共感爆発
都内の建築会社では、代表の採用メッセージ動画を導入。
学生からは「代表の考え方に惹かれて応募した」との声が多数。
リニューアル後、応募数が月間3倍に増加しました。
泥臭さも含めて“本音”を語った結果
ある製造業では、社員の「泥臭くてもブレない信念」をテーマにストーリー掲載。
面接に来た学生が「その話に感動して泣いた」と語り、内定辞退率はゼロに。
ストーリー型採用ページを成功させるポイント
ありのままを出す勇気
飾るのではなく、正直に語ること。
うまくいかなかった過去や悩みを共有することが、リアリティと信頼を生みます。
社内の共創意識が鍵
採用広報は、採用担当だけのものではありません。
現場・広報・経営者が一体となり、「自分たちの物語」を共有する体制が必要です。
更新しながら“物語”を育てる
企業の物語に「完結」はありません。
新しい社員、新しい挑戦が加わるたびに、ストーリーは進化し続けるのです。
まとめ:共感は“物語”から生まれる
どんな制度や待遇よりも、“人の想い”が人を動かす時代。
そしてその想いは、ロゴや数値ではなく、“物語”として語ることで初めて伝わります。
「どんな会社か」ではなく、「どんな想いで動いているか」。
それを伝えるストーリーが、採用成功の鍵なのです。