社員の声が弱いと応募も弱い

はじめに:なぜ「社員の声」が応募に効くのか
どれだけ事業内容や待遇が良くても、「人」が見えない会社にはなかなか応募が集まりません。
特にZ世代・ミレニアル世代といった若手層は、「どんな人と働くのか」「その人たちの価値観は自分と合うのか」を重視します。
採用ページの中でも「社員の声」は、会社の“内側”を伝える最も信頼性のあるコンテンツです。
しかし、形式だけ整った「テンプレ社員紹介」では応募にはつながりません。
求職者が求めているのは、「本音」が感じられる、リアルで人間味のあるストーリーなのです。
本記事では、“社員の声”が持つ本当の力と、応募率を上げるためのコンテンツの作り方、実際に成果を上げた企業事例まで、詳しくご紹介します。
応募者は“会社”より“人”を見ている
求人票だけでは伝わらない「リアル」
「土日休み」「年休120日」「在宅制度あり」──
こうした情報はありがたいものの、どの会社も似たり寄ったり。差別化にはなりません。
応募者はその先、「本当に休みは取れてるのか?」「在宅制度って実際に使われてるのか?」といった“行間”を読み取ろうとします。
それを補完するのが、現場の社員が語る「リアルな働き方の実態」です。
Z世代の価値観と「共感」の重要性
Z世代は、「働く意味」や「自分らしさ」を大切にする傾向があります。
仕事はただの“収入源”ではなく、自己実現やライフスタイルの一部として捉えているのです。
だからこそ、社員が自分の言葉で「この会社でどう成長できたか」「どんな価値観に共感して働いているのか」を語ることが、彼らの心を動かします。
情報の信頼性=“第三者視点”にあり
会社が自分の良さをアピールするのではなく、社員が自然体で語る。
この“第三者視点”こそが、応募者の警戒心を解く鍵です。
さらに、社員の顔写真・動画・ちょっとした失敗談があると、よりリアルな印象が伝わります。
応募につながる社員の声コンテンツとは
「共感」が生まれる3つの構成要素
- ストーリー性:自己紹介から現在まで、感情の動きが見えるストーリーにすることで読者が感情移入しやすくなります。
- 具体性:「やりがいがあります」ではなく、「自分が提案した改善が採用されて、チームが効率化したときが一番うれしかった」といった体験を。
- ギャップ:入社前のイメージと実際の違いなど、意外性があるほど共感が深まります。
NG例:よくある“テンプレ社員紹介”
- 「毎日が充実しています」
- 「上司との距離も近くて話しやすい職場です」
- 「アットホームな雰囲気です」
これらは無難ではありますが、どこかで見たことがある文章で、印象に残りません。
むしろ「作られた感」が出て、逆効果になる可能性すらあります。
「一問一答」ではなく“物語”として語る
よくある「Q.入社理由は?」「Q.やりがいは?」という形式も悪くはありませんが、断片的になりがちです。
おすすめは、1人ひとりのストーリーを時系列でまとめること。
例:「もともと人と話すのが苦手だった私が、営業の仕事を選んだ理由」
→ 失敗・挑戦・成長の流れが見えることで、“共感の物語”になります。
実例紹介:本音コンテンツで応募が増えた企業
1. 入社理由より「迷いと決断」が響いた例
IT系ベンチャー企業A社では、「なぜこの会社を選んだか」ではなく、「どんな不安があり、どう決断したか」をメインに社員インタビューを構成。
「最初はベンチャーなんて不安しかなかった。でも“この人たちと働きたい”と思った自分の直感を信じた。」
という一文が、多くの応募者の背中を押しました。
2. ギャップも伝えて信頼を得た例
B社では、「思ってたより大変だった」と正直に語るコンテンツを掲載。
普通ならネガティブに思われがちな内容ですが、
「でも、今はその経験が一番自分を成長させたと思っています。」
といった結論とセットで語ることで、逆に信頼感を得ました。
3. 動画で“人柄”が伝わった中小企業の例
社員数20名ほどの中小企業C社では、社員の2分間動画を制作。
台本なしで、「最近うれしかったこと」「ぶっちゃけ、この会社のダメなとこ」などを語らせました。
応募者からは「雰囲気がリアルに伝わった」「人柄で決めた」という声が多く、実際に応募数が1.8倍に増加。
“本音”を引き出すコンテンツ制作の工夫
質問設計のコツ:「逆質問」で深掘る
ありきたりな質問ではなく、
- 「もし入社を迷ってる友達がいたら何て言う?」
- 「この会社で一番しんどかった瞬間は?」
といった逆転の問いかけで、本人も気づいていない“本音”を引き出します。
現場社員が語ることでリアリティが出る
「社長」「マネージャー」よりも、1〜3年目の若手や現場のメンバーの声の方が、読者にとってはリアルで“自分ごと”にしやすいです。
ハードな現場の裏話、笑ってしまうような失敗談があると、逆に印象が深まります。
テキスト・動画・写真のバランス
すべてを文字だけで伝えるのは限界があります。
- 社員の仕事風景のスナップ
- 実際に業務を説明する短い動画
- インタビュー本文のハイライトを図解や吹き出しで見せる
こうした「視覚と文章のハイブリッド」が今の求職者には最適です。
社員の声コンテンツを運用するポイント
採用サイト全体の導線設計
良いコンテンツも“読まれなければ意味がない”
- トップページに「社員の声」特集を配置
- 応募ボタンとセットで掲載
- 社員の紹介ページから職種ページへリンク
ユーザーの「気になった」→「もっと知りたい」→「応募したい」の導線を意識しましょう。
定期更新で「鮮度」と「多様性」を保つ
社員インタビューが3年以上前のものばかりでは、「情報が古い」「今の雰囲気と違う」と逆効果。
最低でも年1回の更新を目指し、さまざまな属性(新卒・中途・女性・地方出身など)を網羅しましょう。
SNSやオウンドメディアとの連携活用
社員の声は、短く切り出してSNSでも発信可能。
- X(旧Twitter):印象的なセリフ+リンク
- Instagram:写真+感情的な一言
- noteやブログ:全文+裏話
外部流入を意識して、複数の導線で届けましょう。
まとめ:社員の言葉に、企業の本気が表れる
採用コンテンツの中でも、「社員の声」は最も“信じられる情報源”です。
そして、そこに現れるのは企業の姿勢そのもの。
- 忖度のない言葉を載せているか?
- 作られた印象ではなく、素直なリアルがあるか?
- 「この人たちと働いてみたい」と思わせられるか?
応募はスペックではなく“共感”から生まれます。
その共感を育てるのが、社員一人ひとりの“等身大の物語”です。
御社の採用ページが、もっと「人」を語る場所になりますように。